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2019/06/07オーケストラ・コンサートで、萩森英明:Novelette for Violette再演

MMCJオーケストラ・コンサートでは、近年積極的に現代日本人作曲家の作品を紹介しています。
2019年は、萩森英明氏による「Novelette for Violette On a Theme by Scarlatti」を再演いたします。
この作品は2017年にMMCJの委嘱によって作曲され、世界初演されました(世界初演時の動画はこちら)。コンサートをどうぞお楽しみに。

>作曲者による曲目解説は「MORE」をクリック

■曲目解説
Novelette for Violette On a Theme by Scarlatti

バロック時代の作曲家、アレッサンドロ・スカルラッティ作曲の「Le Violette」は、すみれの花の可憐な美しさを歌う、優美なアリアです。そのメロディーの中からいくつかのモティーフを取り出し、オーケストラの為の小品を作曲しました。

私事で恐縮ですが、学生時代に友人らとカラオケに行った際、多くがロックやR&Bなどを歌う中、一人の友人が「Le Violette」を澄み切った声で歌い、その美しいメロディーに心が洗われる思いがしたものです。それ以来、「Le Violette」は私の大好きな曲になりました。

引用したモティーフはどれもシンプルなもので、1つ目は「ド・レ・ミ・ファ」と上行する音階のモティーフ、2つ目は「ソ・ファ・ミ・レ」と下行する音階のモティーフ、そして3つ目は「ソ・ソ・ソ・ド」と同音反復と5度の下行跳躍からなる、曲中で「Violette」と歌われるモティーフです。どれもシンプルでありふれたものですが、花の美しさをよく湛えています。それらを組み合わせ、また様々なハーモニーで変奏させることは、とても喜びの大きい作業でした。

「最も美しいメロディーはスケール(音階)である」と言ったのは、誰だったでしょうか。高名な作曲家であったか、著名な評論家であったか、はっきり記憶になく、もしかしたら誰もそのようなことは言っておらず、私がただ勝手に言葉を繋ぎ合わせて、あたかもそのような箴言が存在するかのように思い込んでいるだけかもしれません。もちろん「美しい」といった曖昧で多義的な言葉を不用意に用いることの危険性は承知しているつもりですが、「美しい」と表現せずにはいられない何かがあることもまた真理であると思えます。
最後に、このような素晴らしい機会を与えて下さった大友直人先生に感謝を申し上げるとともに、この曲を私の妻に捧げます。

(文:萩森英明)

※この作品は2017年にMMCJの委嘱によって作曲され、世界初演されました。


■公演情報
オーケストラ・コンサート 〜3週間の思いを注ぎ込む、MMCJ 2019 集大成の音楽〜
・7/13(土)14:00開演
紀尾井ホール
・7/14(日)14:00開演
横浜みなとみらいホール・大ホール

萩森英明:Novelette for Violette On a Theme by Scarlatti(2017)
ハイドン:交響曲第44番 ホ短調「悲しみ」Hob.I:44
シェーンベルク:室内交響曲第1番 ホ長調 Op.9
シベリウス :交響曲第2番 ニ長調 Op.43

指揮:大友直人、マイケル・ギルバート
管弦楽:MMCJ 2019 オーケストラ

>各公演詳細はこちら

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